ベトナムのグエン・スアン・フック首相は26日、日本経済新聞社などとの書面インタビューに応じ、日本政府が新設した外国人の新たな在留資格「特定技能」制度を評価した。人材派遣について「日本を常に最優先に考えている」と強調した。ベトナムは最大の人材送り出し国になる可能性があり、日本の介護や飲食業界の期待は高い。
日本政府が4月に導入した特定技能制度は人材不足が深刻な14業種で外国人の就労を認めた。フック首相は2国間で近く覚書を締結することを前提に「日本に行くベトナムの若者はベトナムの国にとっても重要」と指摘。30万人以上の在日ベトナム人の生活環境への適応に向け、日本政府に支援を求めた。悪質な仲介ブローカーの排除に取り組む考えも強調した。
中国が軍事拠点化を進める南シナ海の領有権問題についても触れた。中国への直接の言及は避けながら「国際法に基づき、状況が複雑にならないように努力しなければいけない」と、関係国の自制を訴えた。「日本の南シナ海における安全保障上の役割や貢献を高く評価している」とし、アジア太平洋地域の安定のため「これまで以上に貢献してほしい」と求めた。
フック首相は28日から大阪で開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)にオブザーバーとして参加するため訪日する。
2019年7月2日 日本経済新聞