今回より新しいシリーズとして、1年を通じその時々に発生する人事労務に関する
業務やイベントなど事例を交えながら、お話しさせていただきます。
担当者の方々が日頃疑問に感じておられる事柄など、わかり易く解説したいと
考えていますので全12回、よろしくお付き合いください。


1回目の今回は「年末調整編〈1〉」です。


今年も残すところあと1ヶ月余り、事務担当者にとって年末調整は1年を締めくくる
最大行事であり、給与計算事務の決算です。これが終わらなければ年も越せないほどの
イベントですね。


 さて、11月に入って間もない頃、ある会社の給与担当の方からFAXが届きました。
その方は、今年入社したばかりの新人です。前任者から給与業務を引き継いで四苦八苦
しておられるようで、最近頻繁にお問い合わせのご連絡が入ってきます。


 いただいたFAXは税務署からのもので「扶養控除の誤りの是正」という見出しがついています。
「これは一体なんでしょうか?」とすぐ後にオロオロとした声で電話がはいりました。
「あー、これですか・・。」 
 私としては、この時期の風物詩のようなものなので、この問い合わせが入り始めると
「ああ、今年もそろそろ年末調整の時期だなあ。」と感じるのですが、税務署からの文書
ということで、慣れていないとみなさん途端に慌ててしまうようです。


ここでおさらいをしておくと、年末調整とは、「1年の給与総額をもとに正しい年税額を
計算したものと、その年中に給与から天引きされている所得税の合計を比較し、
過不足を清算すること」ということになります。 
つまり年末調整とは「会社が従業員に代わっておこなう確定申告」です。


多くの会社ではこれに加え、賞与計算などもあり、12月は事務担当者にとって1年で
もっとも忙しい月になります。このため事前にきちんとしたスケジュールをたてておき、
早めの処理を心がけておく必要があります。


処理の流れとしては、

@11月中旬に税務署から年末調整関係の書類が一式送られてくる
 ↓
A11月下旬に従業員に扶養控除申告書、保険料控除申告書を配布する
 ↓
B12月上旬に上記申告書と必要な添付資料を回収する
 ↓
C内容をチェックする
 ↓
D冬季賞与支給
 ↓
E12月下旬 給与の確定(給与・年末調整計算)
 ↓
F給与支給

と、ここまでが一般的な会社で年内に終わらせておくべき事柄です。


ただしこれで全てが終わるわけではありません。年明けには所得税の納付や各市区町村への
給与支払報告書の提出などが待っています。(このあたりの流れについては次回お話します)
年末調整は11月に始まり、翌年の1月に終わると考えておいてください。


 さて、冒頭に書きましたお問い合わせは、昨年の年末調整について控除対象の被扶養者が、
実は所得超過していたことによるものでした。
この方の場合、お母さんを扶養に入れておられたのですが、パート収入が年間103万円を
超えていたのです。
こういった是正の連絡が入った場合は速やかに該当の方の年収を源泉徴収票などにより
確認することが必要です。
 ただし文書が届いたからといって、必ず遡って徴収されるかというとそうでもありません。
ちなみにこの方の場合、住宅取得控除を受けておられるため、いずれにせよ年税額は0であり、
追加徴収はありませんでした。


 ただいずれにしろ、年末調整をする段階できちんと確認をしておけば後になってから
慌てることはありません。従業員の方々に申告書を配布する際、被扶養者の年収が限度額を
下回っているか、この機会に再度確認していただくよう伝えることもお忘れなく。


また、毎年の税金は所得税法等に基づき、控除額やその内容が決定されます。
年末調整のやり方は毎年少しずつ違いますので、毎年開催される税務署での年末調整説明会は
できる限り参加しておきましょう。



【12月中にやっておくべき事務処理】

 ● 健康保険・厚生年金賞与支払届の提出 (賞与を支払った日から5日以内)
 ● 固定資産税の納付 3期分  (12月31日までに)
 ● 10月決算法人の確定申告・翌年4月決算法人の中間申告(12月31日までに)