私たちの仕事でいえば、春は労働保険の年度更新という1年で最も大きなイベントが
控えています。

数年前から申告納付の期限が5月20日から7月10日に変更となり、
多少時間の余裕が出来たとはいえ、業務そのものの量が変わるわけではなく、
例年この時期、職場は戦場と化すこととなります。

一般の企業の方は少し気が早く感じられるかも分かりませんが、
こういった作業はとかく煩雑になりがちで、時間をとられることは否めません。
早めに準備しておかれることをお勧めします。



【労働保険の年度更新】

労災保険と雇用保険(まとめて労働保険といいます)の保険料は、
毎年1回「年度更新」という手続きを行うことにより、前年度(前年4月から当年3月)の
保険料を確定するとともに、当年度(当年4月から翌年3月)の概算保険料を算定すること
となっています。
この手続きは、一般の事業所では上記のとおり6月1日から7月10日までに行うこと
とされています。


前年度分の確定保険料は、労災保険料と雇用保険料を合わせた額です。
労災保険料と雇用保険料は、それぞれ「賃金総額」に料率を乗じて算定します。

労災保険料の率はおこなっている業務によって異なります。
建設業などの比較的危険度の高い事業の場合、自然保険料率は高くなります。



【賃金総額】

賃金総額とは、事業主が使用する労働者に対して賃金、手当、賞与、など労働の対償として
支払うすべてのもので、税金その他社会保険料を控除する前の支払総額をいいます。

法人の取締役その他役員に対する「役員報酬」は除きます。ただし役員であっても、
労働者性の強いものは含まれることとなります。
個人事業の事業主は労働保険に加入していないので、事業主本人がその事業から受けた収入は
賃金総額に含まれません。


よくあるご相談や間違いとしては下記のようなケースが多く見受けられます。

@ パート、アルバイトの賃金は?
  正社員のみを計上し、パート、アルバイトの人について漏れているケースが見受けられますが、
  当然算入が必要です。

A 年度の中途で退職した従業員は?
  在籍している従業員のみ計上し、年度中に退職した人の賃金を算入していないケースが
  見受けられますが、在職していた間の賃金は当然算入の必要があります。

B 通勤費や賞与は?
  毎年特に多く見受けられるのがこれです。上記のとおり労働保険上は通勤費も賃金として
  見られることとなります。
  また6ヶ月定期などでまとめて支給されている場合は、月割りにして毎月の給与に
  上乗せして計算するのが正しい方法です。



【労災保険・雇用保険】

今年(平成24年4月〜25年3月)は労災保険・雇用保険料の改定が行なわれますのでご注意ください。
労災保険につきましては業種によって異なります。
詳細は下記のアドレス(厚生労働省HP)で確認することができます。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhokenpoint/dl/rousaihokenritu_h24.pdf

また雇用保険料率の改定内容は下記の通りです。

                  保険料率  事業主負担率 被保険者負担率
一般の事業   ・・・・・・     13.5        8.5         5.0
農林水産・清酒製造の事業 ・・ 15.5        9.5         6.0
建設の事業   ・・・・・・     16.5        10.5         6.0

前年度(4月1日現在)に64歳以上であった雇用保険被保険者は、雇用保険料が免除となります。
該当者がいるにもかかわらず気が付かないまま、給与から保険料を控除し続けている間違いが
よく見受けられますので注意してください。



【有期事業】

建設の事業と立木の伐採事業については、「有期事業の一括」をしている場合には
年度更新を行いますが、していない場合には年度更新を行いません。
有期事業の一括とは、それぞれの有期事業が、次のすべての条件に該当したときは一括され、
全体が一つの事業とみなされ、一括有期事業として、継続事業と同様に取り扱われます。

条件としては

@ 事業主が同一人であること。

A それぞれの事業が建設の事業又は立木の伐採の事業であること。

B それぞれの一つの事業が規模的に、概算保険料の額が160万円未満であり、
  かつ、建設の事業では請負金額が1億9,000万円未満、立木の伐採の事業では
  素材の見込生産量が1,000立方メートル未満であること。

なお、建設の事業の一括できる工事は、隣接する県及び厚生労働大臣が指定した
都道府県の区域で行う工事それぞれの事業に限られます。


最後にちょっとイレギュラーなケースとして時々ご相談をいただく例としては
「出向社員は出向元と出向先どちらで申告するのか?」というのがあります。


雇用保険については、複数の事業所に勤務する従業者と同様に考えますが、
給与の全額が出向元から支払われている場合には出向元で加入します。
注意が必要なのはは労災保険です。労災保険は業種により保険料率が異なり、
業務を行う出向先で適用されます。したがって、出向元が給与の全額を支払っている
場合でも労災保険だけは出向先での適用ということになります。

次回は労働保険の計算から申告・納付までの流れについて説明してまいります。




【4月中にやっておくべき事務処理】


●2月決算法人の確定申告・8月決算法人の中間申告  (30日までに)
●軽自動車税の納付 (30日までに)
●公益法人等の都道府県民税・市町村民税の均等割申告(30日までに)
●5・8・11月決算法人の消費税の中間申告 (30日までに)