前回は3つの選択肢のうち、継続雇用制度(以下「再雇用制度」)について触れました。

この制度が最も現実的であることから、ここからは再雇用制度に的を絞って
お話を進めていきます。


多くの企業でこの制度を取り入れていますし、皆様もなじみのある言葉だと
思いますが、いったいどのようなメリットがあるのでしょう。


企業側から見たメリットで一番に上げられるのは、新たな労働条件を
設定することができることです。


定年の引き上げでは、勤務形態や賃金など、処遇面に関して一貫性を
持たせるための努力が求められるのに対して、再雇用制度では定めた
定年年齢に達した者をいったん退職させて、新たな労働条件を設定して
再雇用する措置を取ります。


この「新たな労働条件設定」は、企業が自由に決めることができます。


労働条件とは、賃金、賞与、退職金といった金銭的は処遇だけではなく、
雇用期間の定めのない正社員から、雇用期間の定めのある非正社員に
切り替えたり、フルタイムからパートタイムに切り替えるなど、
労働条件全般についての部分を意味します。



これらを自由に決めることができるのは非常に大きなメリットと言えます。



では、ここでの「自由」とはどこまでの範囲を指すのでしょうか。


自由に決めていいのだから、なんでもかんでも好き勝手に決めて良い、
というわけではありません。


その条件が合理的な裁量の範囲であることが大切です。


ちなみに合理的とは、「道理や論理にかなっているさま」を、
裁量とは、「その人の考えによって判断し、処理すること」を意味します。


その労働条件が、企業が道理や倫理にかなった考えで決定したものであれば
何も問題ないということです。


このようにして決められた労働条件に労働者が合意せず、再雇用を
拒否したとしても、企業側に何ら責任が問わることはないでしょう。



次に、労使協定で再雇用制度の対象者に係る基準を策定して、
再雇用者を選定できるのも大きなメリットです。


必要な人材とそうでない人材を選定することが出来るわけです。


労使協定で定める選定基準ですが、「業務上必要と認めた者に限る」のように
抽象的な言い回しでは効力がありません。


健康面に問題ないこと、出勤率が基準を満たしていることに加え、
人事考課の結果や、懲戒処分の有無、持っているスキルなど、
自社にとって必要な人材像とはどういものかをはっきりさせておく必要があります。


以上のように、企業側から見た再雇用制度とは、今までの雇用条件を
いったんリセットできて、なお且つ、再雇用する対象者を選べるという
非常に使い勝手の良い制度だと言えます。



次に労働者側から見たメリットを考えてみましょう。


再雇用制度では、従来の定年年齢はそのままにして、その後は
希望者のみを再雇用することになりますので、60歳定年を考えて
生活設計を立てていた人にとって、念願通り定年退職することが可能です。


私の周りにも、第二の人生を楽しみにしている方々がたくさんいます。


うらやましいような、ちょっと切ないような、複雑な気持ちです。

ただ今の私では到底味わうことの出来ない、長年勤め上げた人達だけが
味わえる達成感や喜びがあるのだと思います。



喜びといえば、退職金に関しても良い面があります。


退職金制度のある企業では、退職金規程の中で、自己都合退職者に対しては
減額措置を取っているケースがほとんどです。


多いところでは50%減額という例もあります。


65歳定年制になれば、仮に60歳で退職した場合、取り扱いは
自己都合退職になり、減額措置が適用されるので、本人にとっては
不利益な取り扱いになってしまいます。


しかし、60歳定年を維持する再雇用制度では、労働者が60歳で
退職する場合、満額の退職金を受給して退職することができるわけです。



以上のように、企業側、労働者側ともにメリットのある再雇用制度ですが、
デメリットも存在します。


次回からはデメリットを踏まえたうえで、制度の具体的な導入ポイントに
触れていきたいと思います。