前回は労働保険の年度更新についての概要を説明しました。
今回はその処理について流れに沿って具体的にお話ししていきます。


【年度更新の手続きの流れ】

@ 雇用保険、労災保険の対象となる労働者の範囲の確認
     ↓
A 前年度の雇用保険、労災保険の対象となる労働者の賃金の集計
     ↓
B 雇用保険、労災保険率の確認
     ↓
C 雇用保険、労災保険対象者のそれぞれの保険料率を乗じ、その年の確定保険料を算出
     ↓
D 確定保険料と、前年度に計算し納した概算保険料を清算
     ↓
E 新年度の賃金総額の見込み額に保険料率を乗じて概算保険料を算出
     ↓
F 申告・納付


と、上記のような流れになります。




@ 【労災保険対象者】

  常用、日雇、パート、アルバイト等、名称や雇用形態にかかわらず、
  労働の対償として賃金を受けるすべての者が対象となります。
  

  また、法人の役員や事業主と同居している親族は対象から外れることとなっていますが、
  他の従業員と同様に賃金の支払いがあり、指揮命令に従って業務をおこなっている場合は
  対象となります。


  【雇用保険対象者】
  雇用保険被保険者は全員算入が必要ですが高齢免除者、年度中に満65歳を迎える労働者
  (今年でいえば昭和22年4月1日以前に生まれた方)からは雇用保険料が免除となりますので
  誤って算入しないよう注意しましょう。
  

A 【前年度の賃金総額の集計】

  上記のとおり、労災保険と雇用保険では賃金総額が異なる場合がありますからそれぞれで
  集計が必要となります。
  前年の4月から今年の3月中に支払った賃金の総額をそれぞれ算出します。

  ここで算出した賃金総額が今年の確定保険料と次年度の概算保険料を算出するための
  基礎額となりますので、間違いのないよう気をつけてください。

  

BC【保険料率の確認と保険料の算出】

  Aで集計した賃金総額に率をかけて確定保険料を計算しますがここで注意が必要です。
  前回お話したとおり今年(平成23年度)は概算年度から保険料率が改定されています。
  ですので、雇用保険については確定保険料率と概算保険料率が異なります。

  また労災保険についいても業種によっては異なる場合がありますので間違って
  同じ料率で計算しないようにしてください。


DE【保険料の清算】

  確定保険料と概算保険料の算出が終われば、あとは簡単(?)です。

  確定保険料よりも前年の概算保険料の方が多かった場合は新年度の概算保険料に充当します。
  逆に確定保険料の方が多い場合は、その不足分を上乗せして納付することになります。
  


F 【申告・納付】

  算出した保険料を労働局から送付されてくる申告書に記入し、6月1日から7月10日の間に
  申告・納付します。

  なお、概算保険料額が40万円(労災保険か雇用保険のどちらか一方の保険関係のみ成立している
  場合は20万円)以上の場合や労働保険事務組合に労働保険事務を委託している場合は、
  労働保険料を年3回に分割して納付する事ができます。

  申告・納付先は「概算保険料申告書」と「納付書」に概算保険料を添えて、
  所轄の都道府県労働局、所轄の労働基準監督署もしくは、銀行、郵便局等でも
  受け付けています。


  これで労働保険の申告・納付が終了となります。




【海外出張者・派遣者の取り扱い】

最後に前回の出向者の取り扱い同様、よくお問い合わせいただく例として
海外出張者の取り扱いについてのご質問を受けることがあります。

海外で働く従業員について労働保険料はどのように取り扱うのでしょうか?


国内の会社で働いている方が海外で業務に付くするケースはいろいろありますが、
大きく分けると、「海外出張」と「海外派遣」に分かれます。

「海外出張」である場合は、出張者に関して特別の手続きは必要なく、
その方が働く事業場で申告することになりますが、「海外派遣」である場合は、
通常の申告と分けて、「労災保険の特別加入者」として個別に申告が必要になります。
 

「海外出張」と「海外派遣」の区別についての判断は、「海外出張者」とは、
単に労働の場が海外にあるにすぎず、国内の事業場に所属していて、国内の使用者の
指揮に従って勤務する方であり、「海外派遣者」とは、海外の事業場に所属して、
現地の使用者の指揮に従って勤務することになる方ということになります。


わかり易くいうと「海外出張」は、商談や打合わせ、調査・会議・視察・見学、現地での
トラブル対応、技術習得等の場合などで、「海外派遣」は海外関連会社への出向、海外支店、
営業所等への転勤、海外で行う据付工事・建設工事などに就く場合ということになります。