前回に引き続き、再雇用時の賃金についてお話しさせていただきます。


「再雇用時は賃金が下がる」

ほとんどの人がこれを当たり前のように受け入れていますし、
多くの企業で一般的に取り入れられている方法です。


あまりに一般的すぎて特に掘り下げて考えることもないかもしれませんが、
「一旦下がる」のではなく、「下がり続ける」「上がらない」という現実を
全員が素直に受け入れているのでしょうか。


賃金がどれくらい下がるかによって感想は違うでしょうが、ある程度、
「下がることは予想していたし覚悟していた」「下がることに関しては
あきらめている」といった感じではないでしょうか。

再雇用された当初は、定年後の働き場所が確保された安堵感のほうが大きく、
その流れで提示された賃金額に納得しがちです。


しかし、それなりに納得していた賃金も、その後5年間「下がり続ける」
もしくは「一度も上がらない」となると、次第に不満が出てくるものです。


来年60歳を迎える人(男性に限る)を境に、在職老齢年金の支給開始年齢が
段階的に引き上がります。

下がった賃金を補うものは、公的な給付で言うと雇用保険からの高年齢雇用継続給付
のみとなるわけです。


そんな中、定年後も現役時代と同じレベルのモチベーションを保ち続けることは
容易なことではありません。


だからと言って、再雇用後の5年間を余生のように過ごされては企業も
たまりません。


65歳まで働くことが当たり前の時代です。


そういう意味でも、企業は再雇用者に対して、再雇用後の5年間を
活き活きと働いてもらうための体制を整えることが重要となってきます。


「頑張れば報われる」制度を作ること。


多くの人は良い評価をされたいものです。


一旦下がった賃金も、その後の頑張り次第では懐が潤う可能性があるとなると、
目標も出来ますし企業全体の活性化にも繋がります。


昇給、賞与、インセンティブなど方法はいくらでもあります。

いくらでもありますが、できるだけシンプルなものでなければなりません。


どのくらい頑張ればどのくらいの評価を受け、どのくらい還元されるのか、
オープンにしておくことが重要です。

再雇用者が自分で理解できるような分かり易いものにして、それを励みに
してもらわなければ意味がありません。


日ごろ私がクライアントさんにこういった話をすると、決まって
「それじゃ人件費が上がってしまう」という返事が返ってきます。


人件費が上がってしまうのは、自社に精通した熟練社員を低賃金で雇える、
という再雇用のメリットに反するかもしれません。


しかし、自社に利益をもたらしてくれる人に還元することは企業として
当然のことですし、本来あるべき姿です。

正社員はきちんと評価を行うが再雇用者は行わない。


ただの差別です。


60歳以降も働ける場を提供してあげている、という企業サイドの思いも
当然わかります。


そもそも再雇用制度自体、自社には必要ないが時代の流れでしょうがなく
やっている、という企業もあるでしょう。

それならば、スタート時の賃金をもっと抑えることも一案でしょうし、
契約更新時の更新要件を厳しくすることもありでしょう。


「頑張れば報われる」制度は同時に「頑張らない人には報いない」制度
でもあります。

どちらか一方だけが得する制度はいずれ崩壊します。


ビジネス用語に「Win-Winの関係」という言葉があります。

直訳すると自分も勝ち相手も勝つこと、つまり取引などにおいて、
関係する両者ともにメリットのある状態であることを意味します。


再雇用制度においてもWin-Winの関係でなければなりません。