まもなく夏季賞与のシーズンですね。
今回は労働者にとっては楽しみな、逆に経営に携わる側にとっては頭の痛い(?)
賞与についてのお話です。


賞与の定義とは何でしょうか。
簡単に言うと、「賞与」とはボーナス、一時金、報奨金、夏季・冬季手当などの
総称ということになります。


以前に会社の就業規則には必ず記載しなくてはならない項目があり、
これらは「絶対的明示事項」と呼ばれるという話をしました。
これらの項目が規定されていない就業規則を作成した場合は、労働基準法違反として
罰則が適用されることとなります。


また、「会社に当該制度がある場合には必ず記載しなければならない」と
されているのが「相対的必要記載事項」です。
賞与については、この相対的必要記載事項に該当します。


つまり、賞与とは恩恵的支給の性質を有し、必ずしも労働者に対して
支給が義務付けられているものではありません。


したがって、労働契約や就業規則などによって、支給の有無や支給時期、金額、
支給対象など会社は自由に定めることができます。


しかし、そうは言っても「うちは賞与などいっさい支給しません。」などと
言い切ってしまうと、人員の募集の際の応募率や人材の定着率などに
少なからず影響を及ぼすこととなるでしょう。
法律違反ではないにしろ、賞与とは労働者の生活において重要な収入であることには
変わりありません。


一般的に賞与はほとんどの企業において夏季・冬季の年2回に分けて支給されますが、
通常「支給対象期間」を設け、その期間内の勤務時間や業務成績などから
賞与の金額を決定します。


たとえば、7月が夏季賞与の支給日だとすると、前年11月1日〜6月30日が
支給対象期間ということになります。


ただし、先に言ったように賞与については就業規則上、比較的自由に会社が
定めることができるため、この支給対象期間に勤務した労働者でも、
「賞与は支給日に在籍する従業員に支給する。」といった文言を定めることによって
支給日前に自己都合退職した従業員には賞与を支払う必要はなくなります。


逆に言えば、この文言が入っていなければ、支給日の在籍が支給要件となって
いないので、仮に支給日に退職していたとしても、その他の要件を満たしている限り、
支給対象期間に応じた賞与を支給する義務が発生することになります。
実際に退職した従業員から請求があり、会社が敗訴した判例もあります。


また、定年退職や整理解雇などの会社都合による退職の場合、支給日前の退職
であっても支給対象期間中の勤務状況によっては支給すべきとの考え方もありますから
注意が必要です。


また賞与の支給額の算定において、出勤率という要件を定める場合があります。
つまり、賞与とは労働者の勤務成績に応じて支給される性格のものですから、
頻繁に仕事を欠勤したり、遅刻を繰り返したりする従業員に対してその度合いに
応じて減額するという考え方で、これ自体は問題はありません。


ただし、産前産後や育児時間などの法律で認められた当然の権利においての
不就労について、不利益な取り扱いをすることは許されません。


以前賞与についていただいたお問い合わせを紹介しておきましょう。


ある会社の社長さんからの質問ですが、「ウチの従業員の有休消化は人によって
バラバラで、しょっちゅう取る人、全く取らない人がいます。そこで、賞与の査定で、
有休をとらなかった従業員には賞与で還元したいと考えています。
何か問題があるでしょうか。」


さてどうでしょうか?


有休取得について取っていない従業員を優遇したいという社長の気持ちは
理解できます。しかし、こういった取扱いは、有休取得に対する不利益扱いの禁止
を定めた労基法に違反することとなります。
有休取得を査定の要件として、取っていない人を優遇するのは、有休の取得を
抑制することになりかねません。
上記同様気をつけなければならない点といえるでしょう。



【7月中にやっておくべき事務処理】

●労働保険料概算・確定申告書の提出(10日までに)
●労働保険料の納付(10日までに)
●健康保険・厚生年金の報酬月額算定基礎届の提出(10日までに)
●固定資産税(都市計画税)の納付(第2期) (31日までに)
●所得税の予定納税額納付(第1期) (31日までに)
●5月決算法人の確定申告・11月決算法人の中間申告(31日までに)
●8、11、2月の決算法人の消費税の中間申告 (31日までに)