本シリーズも今回でいよいよ最終回を迎えます。

これまで、継続雇用制度の概要や3つの選択肢(定年引上げ、継続雇用、
定年廃止)の内容と取り入れる際の留意点、勤務形態や賃金の決定方法等を
お話してきました。


最終回はまとめとして、これからの企業と労働者はどうあるべきかをお話します。


企業はいつの時代も、社会から課せられた制約の中で経営を行っています。

労働力人口が加速度的に減少していく未来に向けて、高齢者雇用は
必要不可欠なものとなっています。


何度も言ってきましたが、企業は高齢者を雇用していくことを前提に
経営のあり方を考えていかなければなりません。


しかも、ただ雇用するのではなく「雇用することは利益を生んでもらうこと」が
企業としての大原則です。


法律によって高齢者を継続雇用しなければならなくなったとしても、
雇用する以上はこの原則を高齢者にも適用しなければなりません。


これを軽視して高齢者を雇用するような企業は、長期的に見れば
衰退していくことになるでしょう。


また、この原則を労働者側から考えると「働くことは稼ぐこと」となります。


ここで注意すべき点は「働く」の解釈です。


定年後、何の目的もなく悠々自適にのんびりと働いたとしても
「働くことは稼ぐこと」の原則は保てます。ですが、企業側の原則は
「雇用することは利益を生んでもらうこと」です。


つまり、利益を生むような働きをしなければ両者に求められるこの原則は
成り立たないことになります。


前々回でも触れましたが、報酬は働きに見合ったものであるべきで、
働きと関係なく報酬が決まるようなことは避けなければなりません。


ただ職場に置いてあげることでは意味がありません。


企業から必要とされる、職場の仲間から喜んで迎えられることが働く基礎であり、
そのためには高齢者であっても「働くことは稼ぐこと」の原則を
守らなければなりません。


「働くことは稼ぐこと」をどう実現するかは労働者の都合だけでは決まらず、
企業の都合と労働者の都合の擦り合わせで決まるものです。

この点は高齢者も同じです。

ですが、現役時代に蓄積してきた経験と能力が生きる仕事がしたいと思っても
会社の都合で実現しない場合もあります。


特に継続雇用の場合、大前提として定年があります。


定年は、ある意味会社の都合と高齢者の都合の擦り合わせを強制的に
やり直す(見直す)時期とも言えます。


この擦り合わせは、労使が対等な立場として行われるのがベストですが、
企業側に「継続して雇用すること」という社会的義務が課せられている以上、
主導権は企業側にあります。


こうした状況下に置かれている高齢者は、これからは企業にどのように
貢献していけるかが求められてきます。


企業と高齢者の擦り合わせの場で、企業が継続して雇用するという
新たな条件を提示したのであるから、高齢者は「このように貢献する」という
新たな提案を見せる必要があるのです。


高齢者雇用社会の構築は避けては通れない道です。


目標ははっきりしているので、今すべきことは、目標に向かって進むべきか
否かで考えるのではなく、目標に向かって進むにあたってどのような問題に
遭遇し、それを解決するには何が必要かについて知恵を絞ることが大切です。


そのためにも、企業側・労働者側のどちらも覚悟することが必要です。


労働者は60歳を過ぎても働き続けることを覚悟すること。
企業は60歳以降の社員を雇用することを覚悟すること。

覚悟がない限り、困難を乗り越える力も、問題を解決するアイデアも
出てきません。

覚悟はすべての出発点です。


是非これを機会に自社の進むべき道を考えてみてください。