ある日突然、労働基準監督署から調査実施の連絡が入ったことはありませんか?

労働基準監督署では、労働基準法や安全衛生法などの法律の違反がないか、
定期的に調査をおこなっています。これを臨検監督といいます。


監督官が無作為に事業所を選び、調査する場合もありますが、最近では残業代や
休日出勤手当などの未払いによる労働者からの申告による臨検が増えています。
これについては在職中に限らず、退職した従業員からの申告も多いため、
日頃からの社内での人事労務管理の整備などが重要です。


実施方法としては、会社に労働基準監督署の監督官が来て調査するケース、
関係者を労働基準監督署に呼んで聞き取りを行うケースがあります。


この時に法違反が発覚すると是正勧告となり、指定期日までに是正報告書を提出し、
指摘された事項について改善しなければなりません。
是正報告書が期限までに提出されない場合は、再監督が行われることもあります。


さて突然、労働基準監督署の臨検がおこなわれた時、慌てないようにするためには、
普段からの管理が必要です。
以下にその注意点をまとめました。



【雇用契約書の整備】

労働基準法第15条では、使用者は労働者を雇い入れる際、賃金、労働時間等労働条件を
明示しなければならない、としています。また、一定の事項については書面交付が
義務付けられています。(第5回 「入社後の手続」参照)
書面による明示事項について違反すると30万円以下の罰金に処せられる場合があります。
この雇用契約書は正社員だけに限らず、パートタイム労働者を雇い入れたときも
当然必要となります。

パートタイム労働法では

1・ 昇給の有無
2・ 退職金の有無
3・ 賞与の有無

についても文書の交付等により、明示することが義務付けられています。



【各種協定届の提出】

是正勧告で、圧倒的に多いのは各種の届の未締結、未届に関する指摘です。
中でも最も重要視されるのは36協定(時間外、休日労働協定)の提出の有無です。
36協定を労働基準監督署に届出しないで残業させることは労働基準法違反となります。


また、届出していても協定を労働者に周知していなかったり、協定の有効期限が
切れている場合などよく見受けられます。


労働基準法36条では「時間外労働または休日労働をさせるときは、労働者と書面による
協定をし、これを労働基準監督署長に届出なければならない」と定められています。


届出は、各事業場単位ですから、支店、工場などがあれば、それぞれの施設ごとに、
そこを管轄する労働基準監督署に届出が必要となりますし、実際に時間外労働を
行なわせるためには、届出をした36協定を従業員に周知しなければなりません。


なお、36協定には有効期間があり、最長1年となっているため、1度提出すれば
終わりではなく、毎年労使間で締結して、監督署へ届出る必要があります。
期限切れにはくれぐれも注意が必要です。


また、36協定以外でも、変形労働時間制や裁量労働制、事業場外みなし労働制の
協定の締結・届出をせずに行っていた場合や、届出の必要がなくても、賃金から
各種の積立金などを控除する際や、フレックスタイム制の協定の締結もれなども
臨検の際、指摘される可能性のある事項です。



【就業規則】

アルバイト、パートタイマー等も含めて従業員が10人以上の場合、就業規則の
作成が必要であり、作成した就業規則は労働基準監督署に届出する義務があります。

就業規則がある場合、時間外労働を行なわせるためには、上記の36協定届だけでなく
就業規則にも時間外労働や休日労働を命ずることがある旨の規定をしておく必要があります。

また就業規則が法改正に対応できているかというのも調査のポイントの1つです。
法改正があったときは、それに準じて就業規則も改訂、変更が必要となります。



【定期健康診断】

安全衛生法では、雇入れの際、及び1年に1回以上の定期健康診断を行わないと
ならないことになっています。この健康診断は正社員だけでなく、以下の要件を満たす
パートタイマー等もあてはまります。


1.1年以上引き続き雇用している者、又は1年以上雇用する見込みがある者
2.1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上の者


ちなみに、法律上では健康診断を行っていない場合は、50万円以下の罰金となります。
臨検の際、健康診断を実施した診断書の会社控は必ず提示を求められますので
大切に保管しておいてください。


次回は近年、急増している残業代の未払いについてお話してゆきましょう。




【10月中にやっておくべき事務処理】

● 所得税予定納税の減額申請(15日までに)
● 所得税予定納税の修正申告・納付(31日までに)
● 個人事業税の2期納付(31日までに)
● 個人事業者の当年分消費税の中間申告(31日までに)
● 9月決算法人の確定申告・翌年3月決算法人の中間申告(31日までに)
● 12月・翌年3月・6月決算法人の消費税中間申告(31日までに)