すべて器というものは、その目的の用途のために作られています。

舟は海に浮かべるもので、山には登れません。
車は陸地を走るもので、海は渡れません。


リーダー、指導者たる者はそれではいけません。


ただひとつの用にしか立たない器であってはならず、
多様なことを学んで、部下に伝授していかなければなりません。


野村監督は常日頃から、エースピッチャーや4番バッターに対して、
厳しい苦言を呈してきた方でした。


『ボヤキ』という言葉はある意味、野村監督の代名詞でもあります。


他の人がエースや4番を大々的に批判しない分、妙に野村監督の言葉が
目立ってしまい「野村は一流選手に対して辛口だ!」というイメージが
世間に広まってしまったようにも思えます。


ですが、エースや4番の使命は、単に、投げる、打つ、勝つといった
ことだけではありません。


剛速球を武器に三振の山を築くことや、鋭いスイングでホームランを
連発することはチームに勝利をもたらす大切な要素です。

ですが、バックの守りを信頼しない投球、また、打線の繋がりを大切にしない
独りよがりのプレーは最終的にチームに良い影響をもたらしません。


ひとつの用にしか役に立たない器であってはならないのです。

個人競技ならまだしも、団体競技であればなおさらそうです。


彼らの背負う使命には、「チームの鑑」になることが含まれます。


練習態度、食事の摂り方、自己管理の方法など、
すべてにおいて模範となり、チームの要となるべきです。


野村監督自身、南海ホークスで中心選手になってから、
自らを鼓舞し、少々の怪我では試合を休むことなどありませんでした。


元広島の鉄人、衣笠氏はまさに「チームの鑑」の典型でした。


王さんも長嶋さんも、みんなそれくらい休まないことに
こだわっていました。

誤解されないためにも、休むことが悪いこと・休まないことが
良いことという区別ではありません。

チームの現状を踏まえ、その中で自分に求められていることを
しっかりと見極め、成功に導くために決断してこれを実行する。


この一連の取り組みに対する姿勢が重要なのです。


若手に対して、自らの姿勢を見せることで、野球に対する取り組み方や
意識の持ち方を伝授していく。

もちろん受け手側の意識の高さも大きく影響しますが、こういう姿勢こそが
人を引き付け、敬意を集めることに繋がるのです。


自らの器をいかに大きくしていくか。

どんな世界であれ、多様なことを学んで大きな器になることが重要です。


人を惹き付ける魅力とパワーを会得してもらいたいものです。



 【今日の野村監督の言葉】

『エースは鑑でなくてはならない』