前回に引き続き、労働基準監督署による調査(臨検)についてのお話です。

そもそもこの制度は労働法令の違反が労働者に対して深刻な被害を及ぼす前に、
是正、改善させることを目的におこなわれるものであり、ここ最近、労働者の
権利意識の高まりによって、告発による臨検が増えているのが現状です。

ただ、監督署は労働者からの告発があったからといって、即、調査となるかというと
そうではありません。


しかし例えば退職した従業員が、勤務していた際の給与明細やタイムカードの
コピーを持って監督署に出向き、未払いの残業代について訴えればもちろん
話は変わってきます。


さて、ある日突然、監督署の調査依頼が舞い込んだら・・


今回は最近特に問題となっている未払い賃金についての調査ポイントを紹介します。
自分の会社は大丈夫なのか、いざという時に慌てないよう、もう一度チェック
してみてください。


調査で必ず提示を求められる資料としては、前回にお話ししたものに加え、
タイムカードもしくは出勤簿、賃金台帳(ともに過去2年分)です。 
この2点は監督署に限らずハローワークや年金事務所等の調査時にも
必ず提示をもとめられる基本となる資料です。




【ポイント@:残業時間】


残業時間は1分単位で計算するのが原則です。「うちは15分未満は切り捨てています。」
という会社をよく見受けますが、これは賃金の未払いと判断されかねません。

ただし、1ヶ月における時間外労働、休日及び深夜労働の各々の時間数の合計に
1時間未満の端数がある場合には30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に
切り上げることは認められています。


また、残業時間あるいは残業手当額に上限を定めているような場合も注意が必要です。
実際に上限時間、あるいは上限額以上の残業が発生していないのであれば
問題にはなりませんが、上限を超えて残業をさせているのに、その超過分の
残業手当を支払わないのは当然違法となります。




【ポイントA:残業単価】

「ウチは残業代は従業員が残業した時間に基づいてきちんと支払っています。」
という場合でも、そもそもその残業単価が間違っていては身も蓋もありません。

以前問題になったある会社では残業単価は基本給のみで算出されているという
ところがありました。

これは極端な例ですが、残業単価の計算から除外できる手当は、
家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われる賃金、賞与
ということになっており、これ以外の手当は除外できません。

また、上記の手当であっても全員一律に定額で支給している場合は除外できない
ことになっています。

つまり福利厚生としての性格が強い手当であるために残業単価の計算から
除外できるのに、全員に一律の金額で支払っていると、それは基本給などと同様と
みなされてしまうからです。

また残業に限らず、時間当たりの単価が最低賃金を下回っている場合も問題となります。
最低賃金は毎年更新されていますので、該当する従業員がいないか注意してください。





【ポイントB:管理監督者】

労働基準法で認められている管理監督者とは、いわゆる管理職全般を指すのではなく
「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」
ということになっています。

つまり労働基準法で定められた管理監督者に該当するかどうかは、実態に即して
判断されるのです。

仮に肩書が課長や部長であっても、それに相応しい権限がなければ、管理監督者には
該当しません。最近よく問題にされる、「なんちゃって管理職」「なんちゃって店長」
というのはこのことです。

また、たとえ管理監督者に該当していたとしても、午後10時から午前5時の深夜時間帯に
勤務した場合には、深夜割増賃金(2割5分増)が必要となります。


また実際に調査が入った際、絶対にしてはいけない注意点として下記について注意してください。

1. 書類や資料の内容を改ざんする、あるいは隠す
2. 監督官に嘘をつく、または従業員に嘘の発言をするように命じる



労働基準監督署の調査というと慣れていないため、つい慌ててしまいがちですが、
普段からきちんとした管理を心がけていれば大きな問題にはなりません。 
またどうしても対応が困難な場合には、日程の変更に応じてもらえる場合もあります。

慌てず冷静な対応を心掛けましょう。



【11月中にやっておくべき事務処理】

● 所得税予定納税(15日までに)
● 所得税予定納税の修正申告・納付(30日までに)
● 個人事業税の2期納付(30日までに)
● 個人事業者の当年分消費税の中間申告(30日までに)
● 9月決算法人の確定申告・翌年3月決算法人の中間申告(30日までに)
● 12月・翌年3月・6月決算法人の消費税中間申告(30日までに)