いよいよこのシリーズも今回をもって最後となりました。

さて、前回、前々回の監督署調査編に続き、
最終回の今回は年金事務所の調査についてお話します。

年金事務所では、健康保険と厚生年金の被保険者の資格と標準報酬などの調査を
定期的に行っています。


【調査に必要な書類】

@ 賃金台帳、支給明細書、給与振込明細書のうちいずれか。給与の内訳の分かるもの

A 出勤簿またはタイムカード

B 労働者名簿、雇用契約書

C 被保険者資格取得届、算定基礎届、月額変更届、賞与支払届の控

D 源泉所得税の領収書

E 就業規則・賃金規定

F 事業所のゴム印、代表社印(持ち出し可能な場合)

などの提示が必要です。
※直近2年分のもの(又は年金事務所によっては、社会保険加入時から現在のものを指定してきます)


【調査の目的】

 年金事務所の調査の目的は、大きく分けて下記の3点と考えてよいでしょう。

● 被保険者の賃金、賞与の社会保険料が正く計算されているか、また届出漏れがないか

  @ 毎年おこなわれる算定(定時決定)において、決定した標準報酬額が適正に控除されているか
  A 法改正などで料率が変更となった場合、新しい料率で計算されているか
  B 昇給や降給があった場合、月額変更届が提出されているか
  C 賞与を支給しているのに賞与支払い届が未提出になっていないか


● 被保険者の取得日は正しいか

  例えば、試用期間を設けている事業所で、本採用となるまでは社会保険に加入させない
  というケースがありますが、これは正しくありません。
  新規採用者で、試用期間中や研修期間中の者であっても、原則入社日(採用日)から
  被保険者になります。
  もし、指摘されれば遡って加入が必要となります。


● パート、アルバイトなどの短時間労働者において社会保険に加入すべき従業員をきちんと加入させているか

  最も指摘が多く、なおかつ事業所にも本人にとっても負担となるのがこれです。
  短時間被保険者でも出勤状況が通常の従業員等の概ね4分の3以上であれば
  原則として被保険者になります。
  社会保険料は事業所、従業員ともに毎月の負担額が大きいため、短時間被保険者は
  その勤務状況に関わらず社会保険に加入させていない事業所が多く見受けられますが、
  上記の要件に該当すれば加入しなければなりません。
  タイムカードや出勤簿を確認し、該当しているとみなされれば最大で2年前に遡って
  加入を強制されるケースもあります。
  例えば、月額報酬10万円の従業員を最大2年間遡って社会保険に加入させるとなると
  一人につき会社負担分だけでも約30万円余りがかかってくることになります。
  もちろん同額を本人からも徴収しなければなりません。


持参するように指定された書類は、事業所に備え付けておくべき法定書類ですので
必ず備え付けておきましょう。
それらの書類がきちんと揃っていれば、調査の時間もかかりませんし、
正しい手続きが行われているという印象を担当官に与えることになります。


年金事務所調査は近年、特に急増しており、厳しい社会保険財政を立て直す為に、
本格的に調査確認を実施していく方針であり、これまで見過ごしがちであった
比較的事業規模の小さな事業所にも及んでいるようです。

調査の依頼が舞い込むより前に上記のポイントをチェックし、確認しておかれることをお勧めします。




【最後に】

さて、事業所を運営してゆくにあたり、労務管理における悩み事は尽きることはありません。
コンプライアンスと現実とのギャップ、労使間でのトラブル、本業以外にやっておかなければならない煩雑な業務など。


そういった悩みはどこの会社、どの担当者でも抱えるものです。
今回のシリーズがそういった担当者の方にとって、ほんの少しでも解決のためのヒントになればうれしいのですが。

1年間お付合いいただきまして、ありがとうございました。




【12月中にやっておくべき事務処理】

● 固定資産税の納付(3期分) (31日までに)
● 10月決算法人の確定申告・翌年4月決算法人の中間申告(31日までに)
● 年末調整による源泉所得税の不足税額徴収繰延承認申請書、保険料控除申告書の提出(31日までに)
● 翌年1月・4月・7月決算法人の消費税中間申告(31日までに)