どんなリーダーであっても時として過ちをおかすことがあります。

ですが、有能なリーダーは、仮に過ちをおかしたとしても、
それを改める術を知っています。

「知っている」というより「自然とそうできる」というべきでしょうか。


そんなリーダーこそ、部下から信頼され、慕われるようになるのです。


本シリーズの第4話でもお話しましたが、野球の世界において、
「戦力」「士気」「変化」「心理」という4つの要素が重視され、
その中でも「士気」、すなわちムードは非常に重要です。


ムードはほとんどが心理的な要素に基づいており、
それをつくり上げる中心にいるのが監督です。

そして監督が選手を見ているのと同様に選手も監督を見ています。

この場面で監督はどう動くのか、次の策はなんなのか。


監督が出すひとつひとつの策が、チームのムードをつくり上げていくのです。


「つくり上げる」というと良いものが出来上がるイメージですが、
必ずしもそうではありません。

策が成功すればムードは良くなりますし、失敗すれば悪くなります。

この失敗が冒頭に書いた「過ち」であるなら、いかに軌道修正していくか、
次の策でどう好転させるかが監督としての真価が問われるところです。

それほど監督の采配は大きな意味を持っています。

まさに責任重大です。


また、選手に優位性を持たせることも大切です。

良いムードを一度選手に植えつけることができれば、
長くチームの財産になり、その積み重ねがチームの信頼関係を
育むことに繋がるはずです。


とは言うものの、感じる力や考える方法を知らない人に
いくら言葉を尽くしても時間の浪費にしかなりません。


まず、選手自身のなかに疑問を生じさせ、「今よりも向上したい」と
いう欲を引き出さなければなりません。

これは簡単なことではありませんが、そのうえでやっと
感じる力、考える方法とはどんなものかを教えていけるのです。


これは企業にも通じる部分です。


今の自分になにが足りないのか、また、どんな努力が必要なのかを
考えさせる必要があります。

自分の所属する組織の状況や未来についても同様です。

ただ漠然と日々を過ごしている部下がいるとすれば、
それはリーダーにも責任があります。

みんなに「向上したい!」、「今よりもよくなりたい!」という
欲を引き出させることがリーダーの責務です。



深い愛情があってこそ、お互いの信頼関係が生まれ、
より高みを目指すことができます。

「情」をもって「知」を引き出し、「意」へと導く。

その流れができて初めて師弟間、あるいは先輩と後輩、
教える側と教えられる側の理想的な関係が築き上げられるのです。



 【今日の野村監督の言葉】

『リーダーは情をもって知を引き出し、意へと導かなければならない』