目標には大きく2種類あります。

自分が納得して立てた「納得目標」と、納得しないのに会社や上司から
一方的に押しつけられる「強制目標」です。

この両者の違いは、目標達成意識の強さに大きく影響します。


プロ野球の世界において、当然目標はリーグ優勝や日本一になること。

個人レベルでは、打者は打率3割やホームラン30本、盗塁50個、
投手は20勝、投球回数200イニング、30セーブなどでしょう。

プロ野球はその名の通りプロの集団です。
監督やコーチに発破をかけられる意味で言われることはあっても、
自分の目標は自分で決めているはずです。

無論、毎年進退をかけて勝負している人たちですから
だれかに目標を立ててもらおう、なんて心理は働くはずがありません。


では、企業における目標設定はどうでしょう。

ある心理学者のデータにこんなものがあります。

上司が部下に対して行なった目標設定のうち、部下が「納得目標」と
認識している場合と「強制目標」と認識している場合とでは、
「やってやるぞ!」という意欲・やる気が2.6対1.0だった、
というものです。

もちろん個人的なばらつきはありますが、
上司が部下に納得できる目標を与えることができたなら、
およそ3倍もの意欲・やる気に繋がることになります。

やる気がある部下とやる気がない部下、
果たしてどちらが良い仕事をするか。

スキルレベルが同等であれば、当然やる気のある部下です。


では、どのようにして「納得目標」を与えるか。

一言で言うと、部下とのコミュニケーションに尽きます。

目標設定を行なう段階で、部下との話し合いが大切です。

ここで補足しておかなければならないのは、これらは企業全体の目標ではなく、
個人に課せられる目標のことです。

上司が一方的に目標を作るのではなく、それを作るプロセスに部下も加わらせ、
一緒に作っていきます。

部下の意見が正しければ取り入れれば良いですし、間違っていれば、
上司が説明・説得すれば良いのです。

大事なことはお互いの意見を取り入れながら、お互いが納得する
目標を作ることです。

こうして出来上がった目標は、部下の目には上司から与えられたものとは
違って映ります。

自分のもの、という所有感を持つことになるでしょうし、
これにより、「なんとしてもやってやる!」という感情が生まれるはずです。


ここまでで、「そんなの理想論だ!」と思う方もいるかもしれません。
また、目標をいちいち部下と話し合うなんて馬鹿げている、
と思う方もいるでしょう。

現実的に考えて難しいかもしれませんし、上層部の人間が目標設定を行なう
企業も少なくないでしょう。

それはそれで全否定をするわけではありません。
むしろ的確な目標設定になっていれば言うことなしです。

ただ、いずれにせよ、目標設定を行なうにあたって、
部下とのコミュニケーションが大事なことに変わりありません。

上層部で決めた目標が「納得目標」となっているのであれば、
それは部下とのコミュニケーションがしっかり取れているということです。

なぜでしょう。


「納得目標」を設定するためには、部下の力量を正しく把握しておく
必要があるからです。


まず、目標設定を行なうにあたり、目安にすべきことがあります。

部下の現在の力量を、15%〜20%くらい伸ばす必要のある
目標を設定することです。

つまりがんばれば達成できるくらいのイメージです。

力量の5倍では初めから意欲が湧かないし、6割で達成できるような
安易な目標では達成感もなければ、やりきった!という充実感も
さほど湧かないでしょう。

この15から20という数字は「やってやれないことはない」と
感じさせるものです。

あくまでも一般的に数字なので、業種によっては5〜10や、
20〜25かもしれませんが、要は「楽ではないが不可能ではない」を
満たす絶妙な数字を設定することが大事です。


ここで本題ですが、絶妙な数字を導き出すためには、部下の力量を
正しく把握しておく必要があります。

このベースがなければ、設定した目標は的外れなものになってしまいます。

部下の能力を過大評価して、厳し過ぎる目標になってしまっては、
部下は達成の喜びを感じることはできず、自信にも繋がりません。

逆に過小評価してしまうと、部下の能力を奪ってしまうことにもなります。

もっと言うと、「この上司は自分のことをわかっていない」と
見限られてしまうかもしれません。

そうならないためにも、日常の業務を通じ、しっかりとした人間関係に
基づいたコミュニケーションを行ない、部下を把握しておくことが重要です。



 【今日の野村監督の言葉】

『人を育てるということは、自信をつけさせる、ということだ。』