採用面接で人を見る際、最も重要視するべき要素は何でしょう。
応募者の能力?あるいは情熱?今回はその辺りのお話をしていきたいと思います。

突然ですが、ここにひとつの方程式があります。


「人生・仕事の結果 = 考え方×熱意×能力」

かの実業家、稲盛和夫氏の説く“成功の方程式”です。
ここでは少し面接の場面から離れ、一度この方程式を解いてみることにしましょう。

稲盛氏の言葉を簡単にまとめると、
「能力」とは頭脳、健康、運動神経等をいい、先天的なものが中心である。
「熱意」とは努力の程度であり、これは自ら決定することができる。
「考え方」とは人間としての生きる姿勢である。
そして「能力」と「熱意」にはそれぞれ0点から100点までの幅しか無いが、
「考え方」にはマイナス100点からプラス100点まである。
それら3つの要素が掛け合わさった答えが人生・仕事の結果なのだ。
というわけですね。

極端な例を出すならば「能力100」「熱意100」「考え方-20」を掛けると
答えは【-200,000】ですが、「能力20」「熱意20」「考え方100」を掛けると
【+40,000】になり、その差は歴然です。
実際に値をあてはめてみると、いくら能力や熱意だけが高くても、
考え方がマイナスであれば、途端に逆効果が高くなることがよく分かります
(考え方がマイナスだとしても能力や熱意も低ければ悪影響は少ない)。

つまり稲盛氏は能力や熱意よりも、考え方こそ
成果を大きく左右する最重要ファクターであると考えたわけです。

さあ、採用面接の場面に戻りましょう。

「能力」は業務に対する知識やスキル、
あるいはコミュニケーション能力といったものであって、
ある程度は見極めが可能な領域だと言えます。
また、いくら本来の力以上の能力を持っているように面接で装ったとしても、

「熱意」は文字通り新しい職場で働くことに対するモチベーションの高さであり、
これは当然面接の中でも注意深く見ることとなるはずです。

そして最後に「考え方」です。これは仕事や対人関係、あるいは人生そのものに
対するその人のスタンスのことで、言い換えるならば「価値観」ですね。
例えば道で財布が落ちているのを見つけた時に、それを警察に届ける人がいれば、
そのまま自分の懐に入れてしまう人もいます。
そのどちらの行動を選ぶかを決めるのがその人の「考え方」であり「価値観」です。
「価値観」というのはその人の行動の基礎になっているものであり、
全ての行動は「価値観」の上に成り立っていると言っても過言ではありません。


夫婦の例を出すまでもなく、互いに価値観が似ていることが(あるいは同じであることが)
良好な関係を持続させる秘訣ですが、それは会社と従業員との関係においても同じなのです。

御社にも独自の社風や文化というものが必ずあります。
今、目の前に座っているこの応募者の考え方や価値観はそれらに上手く馴染むだろうか。
あるいは経営者の考え方や会社の方向性に対して同じ方向で進んでいくことができる人材だろうか。
そういった視点を持って面接に望んでください。
価値観というものを重視して採用を行なってください。

もちろん面接だけでその人の考え方や価値観をすべて理解することはできません。
しかし目を見張る能力(「能力100」)や溢れる熱意(「熱意100」)だけに気を取られて、
「考え方-100」の人を採用してしまったとしたら…
これまでうまくいっていた仕事が途端にまわらなくなったり、
下手をすれば組織がひとつまるまる潰れてしまう可能性すらあります
(先ほどの公式にあてはめてみてください)。

業務の知識やスキルは後で補うことができます。
熱意についても「やる気スイッチ」を押してやることで火を点けることが出来るでしょう。
ただしその人の根本的な価値観については、いくら指導や教育をしても
(残念ながら)改善の見込みはありません。その人の生き方そのものだからです。


採用面接で一番重要視するべき要素、それは価値観であることが
これでよくお判り頂けたかと思います。

次回からは採用後のお話に移っていきます。
その人材が組織の中で輝く為には、入社してからが本当の勝負!
というお話を中心にお伝えしたいと思います。