「人生・仕事の結果 = 考え方×熱意×能力」
前回は稲森氏の説く“成功の方程式”をヒントに、
採用面接時には「価値観」を特に重要視すべきだというお話をしました。

さて、今回はいよいよ採用後のお話に移ります。

「ここまでの話をしっかりと実践した結果、本当に欲しい人材を採用することが出来たよ!」

そんな喜びの声が上がったとすれば私としても嬉しい限りなのですが、
「今回の採用は成功だ」と手放しで喜ぶにはまだ早いと言えます。


たとえ今回採用を決めた人材が、いくら能力的に申し分なく、
人柄も良く、華々しいキャリアの持ち主で、
なおかつ「価値観」だって会社の理念とほど近いものを持っていたとしても、です。

では採用が成功したかどうかはいつ決めれば良いのでしょうか?

答えはもちろん「採用後」ということになります。

採用後のいつ?という質問が飛んできそうですが、
これは明確にいつと断言できる訳ではありません。
(3ヶ月も経てばだいたい判断できることが多いですが)
ただはっきり言えることがひとつあります。

それは採用後に大切なこと(=採用が成功したかどうかを決める要素)は、
『躾(しつけ)』であるということです。

躾?!と聞いて驚かれる方がいらっしゃるかもしれません。
躾というと、親が子供に(あるいは人間がペットに)
「やって良いこと」と「やってはいけないこと」の区別をつけさせる為、
時に体罰を含んだニュアンスで用いられることがありますが、
もちろんここでいう躾は少し意味が違います。

さて一度別の角度から見てみましょう。

「躾」と似た意味合いの言葉で「教育」というものがあります。
『採用後は新入社員教育が重要』これだと比較的すんなりご理解頂けそうでしょうか?
『新入社員にはよく考えられた新人研修制度が必要』これもきっとご納得頂けるはずです。

恐らくどの会社でも、新卒の社員を一同に集めた研修プログラムまで
大げさなものとまではいかないまでも、日々の業務の中で仕事のやり方を教えたりすることで、
新しく人を雇った際には(規模の大小はあるにせよ)教育や研修を行なっているはずです。

もちろん新入社員教育や新人研修だってそれなりに必要なものではありますが、
その内容といえば、業務に必要なスキルを身につけることや、
身だしなみやマナーに関することが中心になっているのではないでしょうか。

ここで言う「躾」とは、それらの「教育」や「研修」とは異なり、
『会社(=組織)の考え方や方向性を自然と理解させ、
同じ方向を向いて足を踏み出させるようにすること』を指します。

仕事に必要なスキルや、ビジネスマナーの類は、いつだって身につきます。
極端なことを言えば、やっているうちにそのうち憶えます。
ところが会社の考え方や方向性は「そのうち理解できる」類のものではありません。

会社という組織に所属するそれぞれの個性(従業員たち)が、
会社が目指すゴールに向かって力を合わせて高い相乗効果を発揮していく為には、
従業員に対して会社の考え方を“落とし込む”ことがどうしても必要なのです。

その為には、入社した当初から会社の考え方や方向性を積極的に伝えていく方が良いでしょう。
大きくなってからだと躾けるのが大変なのは、子供もペットも、そして新入社員も同じですから。

是非初めのうちから会社の考え方をどんどん伝えてみてください。
「こんなこと言ってもまだ分からないよ」等と言わずに、
会社の目指す方向性について、しっかりと話してみてください。
もちろん話すだけではなく、実際の行動で示してやることも重要です。

採用面接の時に「価値観」を重視して選んだ人材なのであれば、きっと判ってくれるはずです。
そして組織にとって貴重なかけがえのない人材へと成長してくれるはずです。

そんな成長を目の当たりにして初めて、採用担当者の方は
「今回の採用は成功だったな…」と、どうぞ喜びを人知れず実感して下さい。


次回は視点を変えて「中小企業だからできること」についてお話をしてみたいと思います。