前回は「メンタルヘルスとは何か」を考察しました。
第2回目の今回は、メンタルヘルスを考える上で避けては通れない
安全配慮義務について述べます。

「安全配慮義務」

簡単に言うと、会社には従業員が安全に働けるようにする義務があります。

安全というのは命にかかわることはもちろんとして、健康面も対象です。
「働きすぎ」こそ会社活動における健康面への最大の弊害です。
この義務を怠れば、会社は損害を賠償する義務を負うこととなります。


安全配慮義務違反として有名な判例が「電通事件」です。

簡単に申しますと、
長時間労働の影響でうつ病になり、結果自殺してしまったという事件ですが、
「会社側には長時間労働と健康状態の悪化を認識しながら
負担軽減措置(安全配慮義務)を取らなかった過失がある」
ということで、1億2,600万円の損害賠償が命じられました。


長時間労働の従業員に対し「早く帰って休んで明日頑張れ」

これは通用しません。


早く帰す=仕事がたまらないような業務分担を会社が命じ、実行しなければ
それは安全配慮義務違反となるわけです。


仕事ができる従業員ほど仕事量が多くなる、という負の循環が現代社会には
蔓延しています。
会社の生産性や成長を考えれば、それは致し方ないのかもしれません。

ですが、仕事ができる「エース」が抜けたら会社はどうなりますか?
エースを守るためにも他の従業員と仕事を分担し、「オールラウンダー」を育て、
作り上げることも会社を成長させる1つの手段です。

従業員全員がエースになることはまず有り得ません。
であれば、会社内での立ち位置や仕事量、業務内容をどのように分かち合うのか?
働きすぎ・働かせすぎの従業員を守るためにどうするのか?


業務分担や適材適所の配置は、安全配慮義務を遵守するためだけに
行うわけではありません。
その先には、会社を成長させるという共通項を持っていないといけません。
短期的には差が出ないかもしれませんが、中長期的な視点であれば大きな差が出ます。

必ずです。


安全配慮義務を考えるということは、会社の将来を考えることと同じです。

「安全配慮義務」という点と「会社の将来」という点を線にする、
会社・経営者・役員の手腕が問われる大事なメンタルヘルス対策です。