〜 パワハラB 〜

管理職が正当な目的をもって部下を指導・叱責することは、当然のことながら
許されるべきもので、問題のある部下を指導することは至極当然のことです。

ただ、執拗に繰り返して度を超していくと人格を侵害しているとして違法と
なってしまいます。


どの程度が「度」を超しているのでしょうか。
明確な基準はありませんが、裁判例を見ていきましょう。


メールを利用しての部下に対する叱責で、時勢を反映した判例となります。
叱責をメールで送る管理職も管理職だと思いますが、直接伝えることは
したくなかったのでしょうか・・・。


《裁判例》

ある保険会社の所長が部下の課長代理に対して、業務指導の一環として
以下の叱責メールを送信しました。

「意欲がない。やる気がないなら会社を辞めるべきだと思います。」
「セクションや会社にとっても損失そのものです。」
「あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。」
「あなたの仕事なら業務職でも数倍の業績を挙げていますよ。」

とメール送信を同時に数十人に対して送信したことに対する
違法性が問われた案件です。


1審判決では、業務指導の一環で、私的な感情から出た嫌がらせではないこと、
メールの内容も人格を傷つけるものとまではいえないこと等を理由に
違法性が否定されました。

2審では、メールの内容が許容限度を超えるとして不法行為の成立を肯定
しました。(慰謝料5万円)


対照的な判決となりましたが、名誉毀損での損害賠償対象となり、
パワハラとは断定されませんでした。不法行為と言っても、パワハラの
意図は認められないことは両判決とも一致しており、違っていたのは、
表現が行き過ぎで多数の社員に送る必要はなかったのではないかという
ことです。


これだけのことをされてもパワハラじゃないの!?って思うのは
人それぞれ基準があるかと思いますが、字面だけのメールは感情が読み取れ
ないもので、受け取った側としてはきつく感じることがあったことでしょう。

また、この管理職の方は、多数の部署内の人に対して一斉に送信することが
必要なのかどうかを検討していれば、訴えられなかったのかもしれません。


指導・叱責するのであれば、他の社員の目のつかないところで、面と向かって
話をするという当たり前の配慮が必要となり、職責に応じた目標などを準備
して、心を入れて接することが重要となります。


重大な失敗や問題行動が発生したとき、厳しく叱責しなければいけない場合
も出てくるかと思いますが、事後にフォローを行って、常に部下の気持ちを
和らげる心がけが肝心と言えるでしょう。