民法には13種類の契約について規定が設けられていますが、その中で他人のために
仕事をして一定の報酬を受けるという契約の代表格が、雇用契約です。

ただ、最近では通信機器やインフラの発達とともに、その働き方(報酬を得る方法)
も多様化して、今までのように他人に束縛されて使用されるのはいやだ!という
インディペンデント志向な若者も増えています。

雇用契約とそれ以外の契約、何がどう違うのでしょうか。


雇用契約の定義は、このシリーズでも何度か取り上げておりますが、当事者の
一方が相手方に対して労働に従事することを約束し、相手方がこれに対して
その報酬を与えることによって成立する契約です。(雇用契約:民法623条)

労働者→労務提供と使用者→報酬支払が対価関係にある有償・双務契約です。
この場合の報酬とは労働基準法の賃金にあたります。

ただし、本質的には労働者の使用者に対する「従属的な労働」を前提に使用者の
「指揮命令」に従って、原則として自ら労務を提供しなければなりません。

労働者性を判断する重要な要素として、この「使用従属関係」があります。

何とも古めかしい時代錯誤感を否めないフレーズですが、これらのイメージが
就社という概念に乏しいロストジェネレーション世代からすると、
かなり抵抗があるのでしょう。

そこで、日々の糧を得る方法として雇用契約以外の契約、「請負契約」を選択
する人も増えて来ています。

「当事者の一方(請負人)が、ある仕事を完成することを約束し、相手方
(注文者)がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約束すること」
によって成立する契約です。(請負:民法632条)

労働者→請負人、使用者→注文者に変わっただけのようにも見えますが、
実態は全く異なります。仕事の完成とその結果をもとに、請負人と注文者との
間で報酬の授受が行われますので、その仕事の完成過程や方法は問われません。

一定の期日までに、所定の仕事を完成させれば良いわけですから、特段の取決め
が無い限り、その仕事を請負人自らが遂行しなければならないこともなく、
いつどこでどのように仕事をしても誰からもクレームはありません。重要なのは
結果であって、過程ではありません。なんだかプロの世界のようですが。

まさに「インディペンデント」な働き方です。

雇用契約の場合、原則として使用者以外の第三者に労務の提供をすることは
出来ませんし、使用者も第三者に労働者の労務の提供を受けさせることは
できません。会社には就業規則というルールがあり、労働者は毎日決まった
時間に決まった場所に赴き、使用者の指揮命令の下に自ら労務を提供します。

ただし、請負契約は良い面だけではありません。請負人は労働者ではありませんので、
労働基準法や安全衛生法・最低賃金法など労働者保護の立場をとる法律の適用を
受けません。ですので、仕事の完成に対して、どのくらいの報酬をいつ払うか
などは当事者の自由です。

また、注文を受けた仕事が期日までに完成しない、あるいは完成品に瑕疵がある場合
など報酬が支払われない、また注文者より損害賠償請求を受けることも考えられます。


このように、雇用契約と請負契約は似て非なるものですが、双方の契約の違いが
よく理解されずにそのメリットだけが一人歩きするケースもあります。

一昔前に、話題になった「偽装請負」などはその典型です。

契約当事者において、それぞれの働き方(報酬を得る方法)にあった契約を締結する
のは良いことですが、その意味や定義がきちんと理解されないまま運用されますと、
様々なトラブルを生む原因となってしまいますのでご注意下さい。